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クフでダローバルな日記

タフでもグローバルもない

定点観測的読書『空をつかむまで』

あけおめ
年賀状まだ送ってません。寒中見舞い?知りませんそんなの。
かなり久しぶりの更新になりますが、深夜のテンションに任せてずっと書きたかったものを書きます。

結構前の話ですが、この小説を読みました。

空をつかむまで (集英社文庫)

空をつかむまで (集英社文庫)

内容は簡単に言うと、少し闇を抱えた少年たちがチームトライアスロンを通じて自分と向き合うことで成長する話です。実際は話がさらにもう一転するんですが、まぁ読んでみてください。

作者は『パコと魔法の絵本』を書いた関口尚さんなんですが、この人の小説はだいたい「奇跡が起こりすぎる」なんて批判されているように、この小説も奇跡満載です。ですが僕はハッピーエンド大好き人間なので、この小説が大好きです。
ライトノベルに近いと行ってもいいくらいかなり読みやすい文体なので、ぜひ読んでみてください。

お察しの通り、僕がトライアスロンを始めたのはこの小説の影響です。「なんでトライアスロンなんて始めたの?」と聞かれるたびに「トライアスロンやってるって言うと格好良さそうだから」と答えてましたが、真意はこれです。でもこの小説殆ど知ってる人いないのであんまり言いません。

ここからはより具体的な描写もあるので、ネタバレ(?)とか嫌な方は読まないでくださいね。

初めてこの小説を読んだのは小6の時でした。たしか小学生向けの推薦図書かなんかで図書館で借りて読んだんだと記憶しています。

当時はエンディングの爽快さで好きになったんですが、どうしても腑に落ちないことがいくつかありました。それは、登場人物たちの性に対する意識です。ヒロインの女の子と主人公のライバル的存在(後の親友)の少年は付き合っていてセックスまでしてるんですが、少女の方はあるトラウマのためにセックスはしたくないけれど、彼の気が晴れるなら受け入れなければならないのだと苦悩し、一方の少年も彼女を束縛してしまうからと一方的に別れを告げています。

当時から性的なものへのあこがれがあった僕は、快感だけに注視した見方をしていたので「なんだよセックスぐらいしろよ」とばかり考えていました。当時はあからさまな性的メディアも容易には手に入らなかったし、この小説も「エロ~い!」なんて小学生的な受け止め方しかできなかったわけです。


二回目にちゃんと読みなおしたのは、中学高校の男子校時代。共学に行った友人達は彼女作ったり童貞捨ててたりと開放的な日常を過ごしていたようですが、一方の僕は女子と話すことすら年数回というレベル。勿論思春期の規則に則り性欲も強かったんですが、さすがに成長して心の拠り所としての異性の存在を求めていた時期です。

当時最大の感想は、「共学死ねよ」だったんですが、それを抜きにすればやはり恋愛に対する憧れが強まったことが影響として大きいです。このヒロインがいかにこの少年の支えになろうとしているか。羨ましい。そんな女の子が嫌というなら受け入れられるようになるまで手を出すんじゃねえ!と感じた記憶があります。嫉妬も含まれていたんでしょうが。


で、どうにか彼女という存在を手にさせて戴き、大学生となった今読み返したら、今まであまり注視していなかった人物に目が行くようになりました。主人公の母親です。この方元夫がどうしようもない女たらしだったバツイチで、たまに男性とデートしたり朝帰りしたりする女性なのですが、どうしても上手くいかない。さっき紹介したヒロインも中学生にもかかわらずセックスまでしたのになぜか上手くいかない。それに対する主人公の気付きの言葉がとても気に入りました。

「裸になって抱き合えば、愛が生まれるってわけじゃないらしい。もしかしたら、裸になって抱き合えば抱き合うほど、愛ってわからなくなるものなのかもしれない。……でも、それならば、抱き合っても愛が生まれないのなら、やさしくそっと触れるだけのほうが、愛ってやつを生むことがあるんじゃないだろうか。」

自分のことを思い返してみても、そっと触れ合っている時間は確かに精神的に心地が良い。それでもどうしても肉体的繋がりを求めちゃうのが動物としてのヒトの性(さが)なのかもしれないけど、それを超えるところに人間的な「愛」があるのかな、なんて思いました。だいぶ恥ずかしいこと言ってますが、深夜に書いてるし読み返さないようにするので気にしません。


小学生、中高生、大学生と自分を取り巻く環境が大きく変化した中で、この小説に対する感じ方も変わってきたのだなぁと思い、この小説が自分の良い定点観測になってることに気づいたので、こんな記事を書いてみました。
ひとつ心残りなのは、こういった定点観測的読書のための本のストックがあまりないことです。小学生のころはそれなりに本を読んでいましたが、中高とほぼ本を読んでいないためにプロットされるべき点が大きく抜けてしまっています。
それでも数少ない定点となる本を大切にし、さらには今後の人生のなかでのそんな本を増やすべく、今年はきちんと本を読んでいくことを新年の抱負とします。

今年もよろしくお願いします。