天国への道の記号論理学的解法
突然ですがクイズです
左右に分かれ道があります。どちらかが天国行きでどちらかが地獄行きです。
それぞれの分かれ道にいる門番に、YES(はい)/NO(いいえ)で答えられる質問を一度だけすることができます。
門番はいつも本当のことを言う天使か、いつもウソを言う悪魔のどちらかなのですが、どちらなのかは見分けがつきません。
どんな質問をすれば天国行きの道を知ることができますか。
まぁ有名なので皆さん知ってますよね。
答えは
「『この道は天国行きですか?』と私があなたに尋ねたら、あなたは『Yes』と答えますか?」
です。
もう一つ、
「あの門番に『この道は天国行きですか?』と尋ねると何と答えますか?」
ってのもあります。
ただ、この問題有名すぎて最近自分で考えたことがない…と思ってたんですが、この間読んだ本に更なる別解が論理方程式を用いて導出されることを知りました。
- 作者: 野崎昭弘
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
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というわけで、解法を紹介してみようと思います。証明部分は記号論理学の知識が必要ですが、求めるだけなら多分簡単です。多分。
まず、右の人に聞くことにします。
聞く相手が天使か悪魔か、右の道が天国か否かで場合分けし、質問Qに対する真の正誤と得たい回答を表にします。
天使か悪魔か | 右の道が天国 | Qに対する正誤 | 得たい回答 |
---|---|---|---|
天使 | ◯ | ◯ | ◯ |
天使 | × | × | × |
悪魔 | ◯ | × | ◯ |
悪魔 | × | ◯ | × |
以下、
相手が天使である を A
右の道が天国である を R
回答が◯である を Q
と表します。(それぞれを 原子命題 といいます。)
記号論理学では、
否定 (例えば「Φでない」)を ¬Φ
かつ (例えば「ΦかつΨ」)を Φ∧Ψ
又は (例えば「Φ又はΨ」)を Φ∨Ψ
ならば(例えば「ΦならばΨ」)を Φ→Ψ
と表します。以下、このルールを用います。つまり、
相手が悪魔である は¬A、左の道が天国である は¬R、回答が×である は¬Q
とします。
「得たい回答」を無視して上の表を表し直すと
(A∧R)→Q
(A∧¬R)→¬Q
(¬A∧R)→¬Q
(¬A∧¬R)→Q
Qにだけ注目すると、
(A∧R)∨(¬A∧¬R)→Q
つまり、質問Qは「(A∧R)∨(¬A∧¬R)」で良いのではないかということになります。
以下、それを示します。つまり、
(A∧¬R)∨(¬A∧R)のとき¬Q
を示したいわけですが…
とりあえず証明図は↓です。
理解したい人は記号論理学勉強してみてください。この証明図くらいなら多分30分でわかります。
というわけで、正しさが証明されたので質問「(A∧R)∨(¬A∧¬R)」を日本語に直すと、
「『あなたは天使で右の道が天国に続く』もしくは『あなたは悪魔で左の道が天国に続く』のどちらかが成り立ちますか」
です。
日本語としてアレですが、こんな機械的処理で答えが得られるなんて、記号論理学楽しい!!!!(不可りかけた顔)